「movie records」は映画素人のわたしが、作品の素晴らしさを言語化して伝えるようになりたい!という連載記事。
第2回は「シザーハンズ」です。
作品の概要
あらすじ
丘の上の屋敷に、歳老いた発明家が住んでいた。
彼は人造人間エドワードを作っていたが、完成間近に亡くなってしまう。
両手が仮初めのハサミのまま、エドワードは屋敷で1人孤独に暮らしていた。
ある日、屋敷に化粧品セールスのペグがやってくる。
心優しい彼女は、エドワードを気の毒に思い、家に連れて帰る。
そこで出会ったペグの娘、キムにエドワードは恋をする。
キャスト・スタッフ
【キャスト】
エドワード:ジョニー・デップ
キム:ウィノナ・ライダー
ペグ:ダイアン・ウィースト
【スタッフ】
監督:ティム・バートン
脚本:キャロライン・トンプソン
感想【ネタバレあり】
ここからは若干のネタバレを含む内容もあります。
色で表現される対比
始まって思ったのは、「意外と明るい色味の映画」ということ。
パステルカラーの家と車が並ぶ住宅街。
ポップでお洒落な服を着ている登場人物たち。
清々しい透き通るような色でした。
そこに現れるモノクロのエドワード。
色味だけで、エドワードが異質であるという印象を受けます。
また、終盤のシーンは夜。
パステルカラーは身を潜め、暗いシーンが続きます。
序盤、エドワードは町の住人に迎え入れられ、歓迎され、人気者に。
しかし徐々に危険な人物として、エドワードは責められるようになります。
エドワードを取り巻く環境を、画面の色で表現しているように感じました。
純粋なエドワード
孤独に暮らしてきたエドワードは、とても純粋な心を持っています。
初めて見るものに驚くリアクションがとてもかわいい。
食事を頑張って食べようとする姿もかわいい。
キムへの恋心がとてもピュア。
彼女の写真を見た時のエドワードの瞳はとても輝いていました。
悪いことだとわかっていながも、キムの願いを聞き入れ、不法侵入の手助けもしてしまいます。
純粋で、人間よりも優しい心を持ったエドワード。
だからこそ、キムは彼に惹かれたのではないでしょうか。
大事なものを傷つけてしまう苦しみ
エドワードは完成間近、両手がハサミのままの人造人間。
ペグに連れられて街へ出たエドワードに、大切な人がたくさんできます。
大切な人に触れたい、でもハサミの手では触れることができない。
「シザーハンズ」といえば、の有名なシーンです。
キムの「抱いて」の言葉に「できない」と答えるエドワード。
キムはエドワードの腕を取り、抱きしめますが、エドワードはキムのように抱きしめることができない。
もしペグと出会わず孤独に暮らしていたら、大切な人もできず、触れられない苦しみを感じることはなかったでしょう。
身勝手な人間
物珍しさから、エドワードは一躍人気者に。
ですが、一度問題が起こると見る目は一転。
危険な人物として徐々に責められるようになります。
身勝手な人間の言動に腹が立ちますが、実際にあり得る話です。
珍しいもの・目新しいものに目がくらみ、優しさ・思いやりを忘れてしまわないようにしたいです。
雪が降るようになった街
「シザーハンズ」は年を重ね、おばあちゃんになったキムが孫娘にエドワードの話をしているという映画。
一番最初に、孫娘が「どうして雪は降るの?」と尋ねます。
エドワードが街で過ごした最後の夜。
クリスマスの氷の彫刻を作るエドワード。
あたりには、氷の粒がまるで雪のように降り注ぎます。
その下で踊るキム。ここも有名なシーンです。
エドワードが来る前には雪が降らなかった。
彼が現れてから、この街には雪が降るようになった。
エドワードは、屋敷に帰ってからも毎年氷の彫刻を作っているのです。
彫刻を作る際に舞う氷の粒が、雪として街に降っている。
会えなくなっても、愛情は変わらずエドワードのキムの間にある。
街に降る雪が、その証なのです。
まとめ
とても有名な映画ですが、今回が初見。
終盤は切ない気持ちになりましたが、軽快でクスッと笑ってしまうシーンもあり、飽きることなく見れました。
エドワードは屋敷で暮らしていては感じることのできない感情を知り、その優しい気持ちはいつまでも彼の心の中にあり続けるでしょう。
