こんにちは、実咲(@twi_339)です。
読書が趣味のわたしが、読んだ本を紹介する「book records」。
6冊目の今回は「屍人荘の殺人」です。
2019年12月13日に実写映画公開も控えている今作。
不気味な表紙が気になって読んでみました!
Contents
「屍人荘の殺人」の紹介
著者は今村昌弘さん。
なんと今作がデビュー作!
第27回鮎川哲也賞受賞作品です。
さらに「このミステリーがすごい!2018年度版」「週刊文春ミステリーベスト10」「2018 本格ミステリ・ベスト10」でも1位を獲得、そして「第18回本格ミステリ大賞」も受賞しています。
あらすじ
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、いわくつきの映画研究会の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。
合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。引用元:屍人荘の殺人-東京創元社
合宿・ペンション・そこで起こる殺人事件・・・!
ミステリーの鉄板が詰まっています。
「屍人荘の殺人」の感想(※ネタバレあり)
ここからはネタバレも含みます。
こんな記事を書いといてなんですが、ミステリーなのでネタバレの前に読んだ方がきっと楽しめると思います!
思っていたよりも読みやすいミステリー
物語は葉村視点で進んでいきます。
葉村を含む、ほとんどの登場人物は大学生。
硬い言い回しや口調が少ない、読みやすい一冊です。
やはりミステリーなので、部屋の配置や登場人物の行動などは複雑。
ですが、部屋の配置は巻頭に図面で記載してあるので、確認しながら読めました。
表紙の印象で「ホラーに近い」「硬い」「不気味」と、とっつきにくい印象でしたが(そのため1年ほど手に取れなかった)読み始めると一気に読めちゃいました!
ただ、少しライトノベルっぽい雰囲気もあります。
本格ミステリーとは違うかも・・・
「想像しえなかった事態」とは【ネタバレ注意】
あらすじにあった「想像しえなかった事態」。
これが「屍人荘の殺人」の大きなポイントとなります。
つまりここからはネタバレ満載です。
ご注意ください!
「クローズドサークル」は多くのミステリーに利用されます。
「屍人荘の殺人」もクローズドサークルが利用されているのですが、外界との往来が断たれる状況が「想像しえなかった事態」なのです。
「想像しえなかった事態」とは、ゾンビの登場です。
ですが、ゾンビという不安定な要素をしっかりとクローズドサークルの要素に組み込み。
さらにトリックにまで絡んでいる。
異例のミステリーでした。
ゾンビの登場に至るまでの話は、今作にはなかったので謎のまま。
続編である「魔眼の匣の殺人」で明かされるのでしょうか・・・?
「ホワイダニット」と「ハウダニット」【ネタバレ注意】
クローズドサークルと同じく、「ホワイダニット」もミステリー用語の一つ。
わたしの印象としては、今作はフーダニットはそこまで重要ではありません。
ハウダニットがわかれば、自ずとここは導き出されます。
まず「ハウダニット」
犯行方法に「ゾンビにしかできないこと」「人間にしかできないこと」が入り混じり、事件を難しくさせています。
あえて別で考えること。すべてを一人の犯行だとしないこと。
「なるほど」と思いました。考え方を変えればスルッとわかります。
次に「ホワイダニット」
ゾンビというこちらから操ることができない要素を利用した犯行に、強い殺意を感じます。
一歩間違えれば失敗する可能性が大きいですから。
犯人が一番殺したかった人物への殺害方法は、すごく苦しかったけれど、納得してしまいました。
いわくつきのサークル合宿、過去に行われた行為、すべてを自業自得だと言えるのだろうか。
「想像しえなかった事態」が投影するもの【ネタバレ注意】
犯人は「ゾンビが復讐の啓示」だと言いました。
「喰われたものが喰う側になる」とは、まさに復讐そのもの。
わたしはゾンビ映画には詳しくないのですが、ゾンビ映画は「エゴや心象をゾンビに投影する」傾向にあるらしいです。
これは作中で語られています。
登場人物がそれぞれに作中でゾンビを何かに例えていましたが、それはここの伏線だったのかと気付いた時、ストンと納得できました。
もしわたしが、同じようにゾンビに囲まれた紫湛荘にいたのなら。
わたしはゾンビに対して何を思うのでしょうか。
まとめ
トータルとしてはすごく面白かったです!
いい感じに続編への期待も高まります。
実写映画は、予告動画を見る限り小説とはかなり雰囲気が変わりそう・・・
気にはなるので、劇場へ足を運ぼうと思います。
ミステリー慣れしていない方にも、肩肘張らずに読める作品だと思います!