こんにちは。
misaki(@twi_339)です。
読書が趣味のわたしが、読んだ本を紹介する「book records」。
今回は「ファーストラヴ」です。
2020年に真木よう子さん主演でドラマ化、2021年に北川景子さん主演での実写映画公開が決定した今作。
演じるのはどんな役なのか・・・今回は小説の感想をご紹介します。
本の概要
著者は島本理生さん。
2017年に実写映画化された「ナラタージュ」の著者でもあります。
今作は第159回直木賞を受賞しています。
2020年2月には真木よう子さん主演のドラマが放送されました。
2021年には北川景子さん主演の映画が公開予定と、続々とメディア化もされています。
あらすじ
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
(引用元:読書メーターより)
感想【ネタバレあり】
真実と事実は似ているようで違う
環菜や周りの人物の証言から事件を紐解いていくのですが、人によって発言が大きく違います。
しかも、大きく嘘をついているのかと言われれば、そうでもない。
それぞれの人物が受けた印象によって、真実が操作されているように感じました。
環菜の友人は彼女の家庭の問題を指摘し、環菜の母親は環菜の虚言癖を指摘する。
読んでいるうちに、どちらが本当でどちらが嘘なのかわからなくなりました。
最後まで読んで、それぞれ同じことを違う視点で語っていただけなのだと気づきました。
ここまで大きな食い違いはあまりないとは思いますが、身近にあることですよね。
登場人物たちの“ファーストラヴ”
なので、すごく意表をついた内容。
タイトルの意味を単純に“初恋”だと思っていました。
ですが、装丁デザインをよく見ると、そうではない雰囲気が出てます。
わたしの解釈ですが、“最初に受ける愛”のことなのかな、と思います。
つまり家族や親、それらに近しい人からの愛情です。
環菜の性格や考え方は、良いか悪いかは別として、幼い頃からの家族環境が作り出したもの。
主要な登場人物は家族環境について言及がありました。
それぞれ違った家族環境があって、その先が物語上の人物像として描かれている。
本当の良い家庭とは
主人公の由紀は結婚していて、夫の我聞と息子の正親と一緒に暮らしています。
すごくバランスがとれた家庭だと思います。
比較的スケジュールが自由な我聞が由紀を支え、正親は由紀の仕事を理解しようとしている。
この物語の中では歪みは見当たりませんでした。
(強いていうなら我聞との関係ぐらい)
環菜の両親との関係は、決して良い関係とは言えないと思います。
美術家の子供という特殊な家庭で、特殊な出来事もあり、母は父に逆らえない。
デリケートな問題でもあるし、子供の頃からならば、それは普通となっても不思議ではない。
答えがないからこそ、難しい。
わたしがもし親になることがあれば、すごく悩むと思います。
まとめ
全体を通して深く暗い物語でした…
わたしみたいにタイトルに騙されないようにしてください(笑)
事件は過去のもので、大きな緩急もなく進んでいきます。
その分、登場人物の性格や生い立ちを深く描いています。
殺人事件が起こったからこそ、環菜の家庭環境が暴かれたわけですが、それがなければ、彼女は苦しみ続けたままだったでしょう。
自分の声をあげられるようになった環菜の将来が、幸せであるように願わずにいられません。