わたしの本棚

好きなものがあるって素晴らしい|麦本三歩の好きなもの【book records】

実咲
実咲
こんにちは、実咲(@twi_339)です

「book records」は、読書が趣味のわたしが、
読んだ本を紹介する連載記事。

1冊目は「麦本三歩の好きなもの」です。

本の概要


著者は住野よるさん。
「君の膵臓を食べたい」で有名です。

あらすじ

図書館に勤務する麦本三歩の日常を描いた短編集。
ちょっと個性的でおっちょこちょいな三歩は、仕事で怒られることが多い。

だけど、彼女には好きなものがたくさんある。
朝寝坊、チーズ蒸しパン、そして本。
好きなものがたくさんあるから、毎日は楽しい。

感想【ネタバレあり】

「麦本三歩の好きなもの」は特に何かが起こる物語ではないのですが、
ここからは若干のネタバレを含む内容もありますのでご注意ください!

キュートな主人公、麦本三歩

特設サイトに「住野よる史上、いちばんキュートな主人公」と三歩は紹介されています。
住野よるさんもツイートされてました。
https://twitter.com/978434403435_8/status/1102170189741809664?s=20
三歩は個性的な、いわゆる「天然」と言われるタイプの女の子。
頭の中ではちょっと変わった考え事を繰り広げています。

人によっては苦手なタイプの人間かもしれないですね・・・
わたしはすごく好きだなと思います。
(が、実際に同僚でいたらイライラしてしまうかも)

収録されている「麦本三歩は今日が好き」の中に、
わたしが彼女を好きだと思う考え方がたくさんありました。

今日も前に進んでいなくちゃ、今日これから起こる楽しいことを味わえない。

−本文より抜粋

幸せだったことは思い出せても、もう一度体験することはできない。
嫌なこともあるだろうけど、進まないといけないんですよね。

三歩には、何気ない毎日でも
ちょっと充実した日に変えられる感じ方・考え方があると思いました。

主要な人物に名前がない

住野よるさんの作品は、登場人物の名前が少ない作品が多い気がします。

実咲
実咲
読んだことがあるのは「君の膵臓をたべたい」と「また、同じ夢を見ていた」だけですが・・・

「優しい先輩」「怖い先輩」「おかしな先輩」・・・
それでも読んでいて混乱はしません。
個性的な登場人物が多いからでしょうか。

読んでいると、「麦本三歩の物語を描いた小説」ではなく
「麦本三歩のありふれた日常」という印象を強くしているように感じます。

好きと言えること、その力

何も起こらない短編集ですが、
その中でもわたしがいちばんすきな話は「麦本三歩は君が好き」です。

大学で仲が良かった男友達が三歩の住む街に引っ越してくる。理由は会社の配属先変更。
少しだけ変わった友人。彼は三歩を水族館に誘います。
イルカショーが終わった時、友人はなぜ三歩に会いにきたかを告白する。
「死のうとしたんだ」

読み終わって、じんわり涙がにじみました。

わたしなら、どう声をかけただろう。
考えたところで、答えが出ないことはわかっているのですが。

ただ、三歩の「死んでもいいよ」は刺さりました。
友人に対して、なかなか言えないことだと思います。わたしなら言えない。
正直は美徳ではない。醜い正直を吐き出すには勇気が必要だと思います。

でも、一番刺さったのは「君を好きなままの私が、少なくともいるから」
なるほど、だからタイトルは「麦本三歩は君が好き」なのか、と。

三歩の「好き」という気持ちは、生活を豊かにするだけでなく、
誰かの力にもなるのかもしれないと思いました。

まとめ

一言で言うなら、「好きの気持ちって素晴らしい」

誰も死なない。何も起こらない小説ですが、すごくよかったです。
「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」のあとで読んだので、余計にそう感じました。
重い話ばかり読むと疲れてしまうので・・・

嫌なことを考えたあとに、好きなことを考えるようにしようと思います。
そうすれば、好きなことの方が実は多かったりするかもしれない。